Media Seminar Report
「女性の元気は、日本を変える
~私だけの花を咲かせるために、いまできること~」
対馬
生理や妊娠、暴力を受けていることは話しにくいですよね。病院に行って堂々と相談できる人はめったにいないので、そこでもう少し身近な存在として普段からかかりつけ医としてお付き合いがあると、ハードルが低くなると思います。どんな状況でも早く相談できる体制づくりが、特に若い女の子には必要です。
それからお産後はホルモンが下がります。しかもエモーショナルに下がるんですね。そこで悲しくなったり、生きている意味がない、とか赤ちゃんがかわいく思えない、私ダメなんじゃないかとか、孤独育てというのがコロナで特にひどくなっているので、普段から声を掛け合える体制は必要です。健康の底上げですよね。
町:
リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、妊娠とか出産などすべてを女性が自分で決められる権利と言われていますが、日本ではなかなか難しいでしょうか?
塚原:
本来は自分の意志で決めるべきなのに、仕事では育児・出産を選ぶともうキャリアのチャンスがまわってこないのではと苛まれる女性は多いですね。一方企業では、出産後に復帰してもマミートラックにはまるのではなく、両立できるような取り組みはされています。ホロジックのデータをはじめ、女性に関するデータがいろいろな形で可視化されていくことで、解決すべき課題にみんなで立ち向かっていけるのではないかと期待しています。
対馬:
避妊や中絶も女性の健康の権利なんですね。女性がそのことでつまずいてしまうことほど大きな損失はないと思っています。色々とうまく行かないことがあっても、前向きに自分の人生を決めていけるのが本当の「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」。医療者もまわりの人たちも温かく助け合って、みんなで生きていければいいのではないかなと思います。
町:
最後に私たち女性自身にも何かできることがありますでしょうか?
対馬:
私が産婦人科医になった時には「女はいらない」と言われ、24時間仕事で手術もあり大変だからやめたほうがいいと入れてもらえなかったんです。ようやく産婦人科の仕事ができるようになった今は、若い人が拒絶されたり、だめだと言われないように助けてあげたいということが、自分自身の人生のテーマになっています。相談し合える人間関係があれば、仕事も家庭や地域も世界の助け合いも、すべてやっていけるのではないかと思います。今日はそういうことをもう一度みんなで考え合える機会となってよかったです。
塚原:
仕事でも家庭生活でも、いろいろなものに縛られず、自分が何をしていきたいか、どんな人生を歩んでいきたいか、自分のありたい姿ををしっかり描くことがまず大事だと思うんですね。ものごとを解決していかなくてはいけないというのはそのあとにくるもので、その時には、全部自分で抱え込むのではなく、パートナーと相談したり、上司を巻き込んだり、友達に相談したりしながら、自分の人生を作っていくことができるといいのではと思います。
町:
助けを求める力「受援力」が足りてない、ということが言われていたりしますよね。助けてと気軽に言えたらと思います。
関根:
今日のような話を女性ももっと発信していくことが大事。男性にもわかってもらい、みんなで楽しく生きていけるよう支え合える世の中になっていくことを願っています。