逆転写酵素とRNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)を利用した増幅法。 RNAを鋳型として、逆転写酵素を用いて二本鎖DNAを合成後、T7 RNAポリメラーゼによって等温で目的RNAを大量に増幅させる。
1-2 MMLV逆転写酵素(RT)の働きにより、まず標的RNAから相補的RNA-DNA二本鎖が合成される
3-4 RNase H活性によりRNAが分解され一本鎖DNA(cDNA)となる
5-6 DNAポリメラーゼ活性により二本鎖DNAが合成される
7-8 鋳型二本鎖DNAをもとにRNAポリメラーゼ(RNA pol)の転写反応によりRNAが合成される
9-12 合成されたRNA増幅産物の一部は、上記と同様な工程により鋳型二本鎖DNAとなり、さらに多くのRNAが合成される
TMA法は温度サイクルが必要ではなく等温で反応が進むため、ランダムアクセスサンプリングに適した増幅法になる。
※言語は英語となっております。
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核酸増幅検査(NAT検査)とは、生体などから遺伝子(核酸)を取り出し(抽出)、その核酸を増やして(増幅)、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法のことです。
PCR法は検出対象が主に核酸のひとつであるDNAであり、温度変化をさせることで対象核酸の増幅を行います。一方TMA法は検出対象が主に核酸のひとつであるRNAであり、温度変化を必要とせずに(等温下で)対象核酸の増幅を行う、という違いがあります。(測定対象によってはPCR法でもRNAを検出する場合、TMA法でもDNAを検出することができます。)
TMA法のメリットの1つとして、温度変化が不要なことで検体を溜めて待機する(バッチ処理)などの手間を省き、随時検体の投入が可能となること、また自動化機器のコンパクト化が可能になる、といった点があります。またHPV検査においては、がん関連タンパク質であるE6/E7のmRNAを測定対象とすることで、実際の疾患との関連が高い検査が可能となります。(偽陽性の減少)*
*J Cuzick et al., Comparing the performance of six human papillomavirus tests in a screening population.
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3590662/)